「まったく、訳分かんないっすよ、あの女!」
男は釈然としない思いを吐き出した。

とりあえず、あの後飲みにいった。
とりあえず、これで気まずいまま一日が終わることはない。
とりあえず、とりあえず。のハズだった。

当たり障りのない話をしながらグラスを傾け、気が付けばかなりの量を飲んでいた。
酔いも回りホンの数時間前の気まずい出来事などどうでも良くなってきた頃、女は言った。
「わたしね、いいなと思っている子がいるの。会社の10コ下なんだけどね〜」
「???」男は耳を疑った。
「何?そんな奴いるんだ?」
「ん〜片思いだけどね〜」
男の恋心は酔いと共に一変に醒めた。
「さて、そろそろお開きにしようか?」
男は立ち上がった。


「なんだよ?結婚も視野に入れながらの紹介ぢゃなかったのか?」
「紹介者の話ではそうでしたけど・・・」
私と彼は呆れた、どちらに対しても。

「どうしたらいいんですかね?」男は呟く。
そんなふざけた女、私なら即サヨナラだが、男はどうも女のそのふざけた態度に報復というかなんというかやり返さなければ腹の虫が治まらないらしい。
「何?そんなに収まり付かないの?そんじゃなんかガツンとやってやればいいじゃない。」
その彼の言葉に男は飛びついた。
「なんかいい方法ありますかね。」
そんな面倒くさい事したって仕方ないから、二度と会わなけりゃいいじゃんと言う私の言葉は無視された。
「自分が結婚も視野に入れながらって言っておいて、好きな奴がいるって言われたら、ハラたつでしょ?」
そういわれれば「はい」と答えるしかない。

「今まででつきあった女の人に対して、あれはダメでしょ思うことを三つあげてください。」
男の目は鈍く光っていた。