ン????

右手に黒いステッキのような物を携えた男性が家から出てきた。
仕事中だった私は挨拶をしてまた仕事を始めた。散歩にでも行くのであろう。
しかし男性は一向に歩き出さない。姿勢を正し準備運動を始めた。
「散歩に行くのにずいぶんと念入りだな。」などと考えながら男性を見ると、さっきステッキくらいの長さしかなかった黒い物はゴルフクラブのシャフトくらいの長さになっている。
準備運動を続ける男性。伸びた黒い物がなんなのかを凝視するのも失礼な気がして、チラチラと見ていた。
すると、男性はそれを口にあてがった。

「シュタ!!」微かに音がした。

男性はそれを数回繰り返し、敷地内に消えていった。
再び現れた男性の手にはダーツの矢のような物があった。

吹き矢である。
吹き矢愛好家なる人たちがいるのはテレビで見て知っていたが、実際に吹いているところを見たのは初めてだ。
たまにこんな変わったことを見ることができると得した気分になる