「問題・・問題ねぇ・・問題・・」「なんだよ?なんかあるのか?」「イヤ・・・ウン。カミングアウトされた。」
「・・?」三人ともしばらく間、思考が止まった。そりゃそうだろう、カミングアウトなんて言葉では知っていても実際にされるってことにもされたってことにも縁がない人間が圧倒的だろう。
考えがまとまらないながらも聞いてみる。
「レズって事?」「イヤ・・」ますます分からなくなった。

「カミングアウトされたんだろ、じゃあおこげって事?」「イヤ・・」さらに分からなくなってしまった。
分かるように説明を促す。「何ていうのか・・何でも有りって事らしい。」「両刀ってこと?だったらカミングアウトじゃないだろ、どっちもOKなんだから。」Aはこちらの言葉を遮りさらに言葉を重ねる。「そうなんだけど、もっとヘビーな話でさ・・」

Aは話を続ける。「何でも有りって言ったじゃん、つまり人間なら誰でもいい*1って言われた。」困惑を隠すことなく告げた。
告げられたほうは各自の処理能力を超えているのでどう返していいものやら・・
とりあえず酒を注ぐ。「役立たずでスマン。」としか言い様がない。「まあ吐き出せて少しは自分なりに考えがまとまりそうだから。」
窓の外はすでに明るい、時計を見ると6時30分を指している。窓を開ける、雨は降っていない。また賭けに負けたようだ。BとCは寝ている。

仕事に向かうために立ち上がり、ふと沸き上がった疑問をぶつけてみる。
「彼女って相手が女の子の時って、攻め?受け?」しばらくの間があって、破顔一笑。にこやかに返事が帰ってきた。
「この下衆野郎」
その声を背中に受けて仕事に向かった。

とりあえず  完

*1:性転換を含むおかま、おなべを含むって事らしい